修士論文についての背景ーカンボジアの研究ー

カンボジアにおける精神的不健康を有する生徒の学力分析について修士論文を収筆した。

ちなみに修士論文のタイトルは「障がい児学力に影響を与える家庭要因及び学校要因の分析-カンボジアにおける精神的不健康を有する生徒を事例として-」とした。

 

なぜカンボジアにしたのかというと理由は

  • カンボジアは旧紛争国であり、他国よりもPTSDといった精神疾患や精神的な障害を有している人が多いこと、またインフラが紛争によって破壊されたこと、医師や教師といった所謂知識人が殺されたこと、から発展途上にある国であり、また背景として都市部と農村部との差が大きく、農村部には病院もなく、カンボジアは多面的に多くの問題を抱えている国であるから。

 

また、PISAに関するデータを使用した理由は

  • PISAのデータは教育のデータとして学校、教師、親、生徒自身、コミュニティのデータが含まれており、また生徒の健康度合い、親と子のかかわり、教師の振る舞いといった細かい情報がデータに含まれていることが使用するにあたり大きな理由となり、背景として今までに精神的不健康を有する生徒を対象に学校要因、家庭要因がどうその生徒たちに影響を与えるかという今までにない新しい研究ができるという利点から使用に至った。 
  • GAF尺度とは

1-100の数値のスケールで精神状態をスコア化し精神保健従事者や精神科医が、成人の社会的、職業的、心理的機能を評価するのに用いられる。数値が大きいほど健康であることを示す。

 

精神疾患は全体的に脳の機能を低下させ、またPTSD双極性障害は不注意を招きやすく学力及びテストスコアが下がるといえる。

 

  • 精神的不健康のスコアとなぜ完全に健康である人を除いたか

完全に健康な人は多く、全くもって健康な生徒と精神的不健康を有する生徒の間で大きなギャップがあるのではないか、また本項の狙いとしては少しでも精神的な問題を抱える人を対象とし、精神的不健康が増すほど学力にどう影響を与えるかを考察するため。

 

研究手法としては重回帰分析を行い、テストスコアを従属変数(被説明変数)、生徒のデータ(デモグラフィー)、学校環境、家庭環境を独立変数(説明変数)としている。

 

  • PISAとは何かについて説明すると

このプログラムはOECDによりなされており、世界的に教育プログラムを評価することを目的とし国際比較により、調査を実施する学校を決定し、生徒を無作為に抽出している。

 

  • Pisa for Development とは?

政策立案者がどう学習環境や教師及び学校システムをよくできるか考察すること、より多くの国がPISAに参加すること、学習状況を分析のもと国の政策決定を提案、SDGsのもと学習成果の質的向上と平等な教育を促進することを目的とする。

 

ちなみにこのPISA for Developmentにはザンビアホンジュラスセネガルパラグアイグアテマラエクアドルカンボジアが参加している。

 

最後に、カンボジアの障がい、特に精神的な障がいに着目したが、カンボジアにおける障がいに関する統計データが一貫していない背景に障がいやその他周辺化された社会的弱者の状況を把握できていないというカンボジア政府の能力不足の問題があるといえる。