危機遺産アレッポの旧市街

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シリア(シリア・アラブ共和国)に「アレッポの旧市街」という世界遺産がある。アレッポは新市街と旧市街にわかれる。世界遺産の歴史としては1986年に世界文化遺産に登録されたものの、2011年に発したシリア内戦により、スークが消失するなど甚大な被害から危機遺産リストに追加された。シリア北部のアレッポは、メソポタミアとヨーロッパをつなぐ中継地となった隊商都市で、現在もシリア第二の都市とされている。歴史的には紀元前2世紀ごろまでさかのぼり、首都のダマスカスに次ぐ歴史をもつ。旧市街には総延長約12キロのスークがあり、300軒以上の店舗やモスクを備えた巨大なキャラバンサライ(隊商宿)のハーン・アルムジュルクは、隊商都市として繁栄した往時の様子を伝える。丘に立つアレッポ城は、十字軍やモンゴル軍の攻撃に耐え抜いた難攻不落の城である。

内戦(政府軍と反体制派の対立)により、2012年にはアレッポ市内にも拡大した。攻防により、ミナレットが爆破されたこともあった。空爆により、市街地が破壊され、犠牲者、国内避難民、難民が発生している。内戦により世界遺産が破壊されてしまうのは遺憾である。